お得な返礼品や節税方法として活用されている話題のふるさと納税ですが、その背後にはさまざまな問題が隠れています。今後、返礼品に変化があることも考えられますので、ふるさと納税を活用する方法を確認しておきましょう。
近年のふるさと納税の問題点は?
いつも納めている税金の支払い方法と異なり、自分の居住自治体以外に寄付することで住民税の控除対象となり、うまく活用すれば税金対策がや、返礼品をお得に受け取れるなどのメリットがあります。
一方で、加熱するふるさと納税ブームによって、さまざまな問題が浮き彫りになっています。それはふるさと納税の趣旨から離れてしまっていると言うことです。具体的にご紹介します。
ふるさと納税が持つ本来の趣旨から離れている
ふるさと納税は元々、就職などにより自分の生まれ育った地域を離れた方に対して、その故郷に何か還元できるシステムを作りたいという趣旨で作られました。しかし、昨今ではこの本来の目的よりも、特産品や商品などによる返礼を目当てに寄付を行う案件が非常に多くなっています。ふるさと納税の開始以来、各自治体はこぞって返礼品を充実させ、自分たちの地域に対する寄付を増やすという試みを行ってきました。その本質は、故郷を思って寄付をしてくれた相手に対するお礼の品を送るという意図が、欲しい返礼品のために縁もゆかりもない地域に寄付するという方を増やすきっかけにもなってしまいました。
返礼品の負担が大きいために赤字の自治体がある
より多くの消費者に知ってもらうために、当初の負担額よりも高額な返礼品を取り扱ったために、想定以上の負担がかかってしまう自治体も少なくありません。こういった場合は、無理にでも返礼品を送達するために、農家や漁業関係者など地元業者の方々にしわ寄せが行きます。地域を活性化させるための寄付が、結果的にその地域で暮らす方々を苦しめてしまうという、本末転倒な状況も問題視されています。
返礼品の条件に制限が設けられる
ふるさと納税が話題になるにつれて、各自治体が競うように返礼品を高額なものにしていきました。中には、特定の自治体に寄付をすることで、パソコンが実質無料で受け取れるというケースまで出てきました。しかしながら、本来の趣旨である、故郷のために寄付をするという目的から逸脱しているために総務省が地方税制の改正を行い、平成29年度よりふるさと納税の返礼品の制限を設けることとなりました。
この改正案には、「ふるさと納税に対する返礼品は良識の範囲内に収めて、あまりにも高額なものは控えるように」という言明がなされました。特に送達を控えるべき返礼品は、電子マネーや商品券などお金と変わらず使えるものや、電子機器や貴金属・自転車など資産として扱えるもの、寄付額に対して大幅に割合が高い高級品等とされています。
この記述に対して自治体によっては、今後もパソコンなどの高額製品をふるさと納税の返礼品として認めてもらうように訴えかけていたり、すぐに方針を変えて高額な返礼品を扱わずに別の品物へと変えている自治体もあります。
このまま、本来のふるさと納税の理念から離れ続けてしまい、営利目的である高額な返礼品が増え続けると、さらなる法改正によって返礼品の制限がより一層厳しくなることも考えられます。
なるべく簡単な手続きでふるさと納税をするには?
どのくらいの納税額で住民税が得になる?
ふるさと納税は寄付によって届けられる返礼品だけがメリットではありません。その寄付金額の割合によっては納税とみなされ、控除の対象となります。所得金額が控除額分だけ安くなり、所得税や住民税の納付額が減るという仕組みです。
しかし、寄付した金額があまりにも高額な場合は、逆に損をしてしまう可能性もあります。もし、その上限額を知りたい場合は総務省のふるさと納税ポータルサイトから知ることが出来ますので、お得に使えるように調べてみてください。
全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安:総務省 ふるさと納税ポータル
ワンストップ特例制度で面倒な確定申告要らず!
ふるさと納税を行った寄付金額の一部は控除の対象となります。その結果、寄付をした年の所得税と翌年の住民税の負担額が少なくなるというメリットがあります。しかしこれは、確定申告を行って申請しなければなりません。自営業や個人事業主の方なら馴染みがあるかもしれませんが、一般企業に勤めていて年末調整を行っているといった場合には確定申告を行っていない方も多いのではないでしょうか。そのような場合は書類をそろえて税務署に出向き、正しい所得額に修正した上で、税額を減らすことは可能です。しかし、ふるさと納税だけのために、確定申告を行うのは少し手間です。
そんな方のために平成26年度からから始まった「ワンストップ特例制度制度」を紹介します。この「ワンストップ特例制度制度」を申請できる方は、2つの条件を満たしている必要があります。
まず1つ目は、寄付を行った年の確定申告書を行わなくても良いという条件です。例えば、個人事業主として働いていたり、年末調整の対象とならないアルバイト等の仕事をしている場合は、寄付をしていなくても確定申告をして税金額を調整しなければなりません。そのため、ふるさと納税の控除も確定申告によって行います。
さらに、確定申告をしなくても良いという条件に当てはまったうえで、ワンストップ特例制度が利用できるのは「1年間での納税先の自治体が5つ」までの場合です。6つ以上の場合はワンストップ特例制度を行うことができないので、あらかじめワンストップ特例制度の使用を検討している場合は、1年間で寄付できる自治体は最高でも5つまでに押さえておきましょう。
さて、「ワンストップ特例制度」のやり方ですが、申請用紙とマイナンバーカードの写し、本人確認書類の写しを用意して、納付した自治体に送付するだけで申請完了となります。期限は寄付をした翌年の1月10日必着です。これを過ぎるとワンストップ制度が使えなくなりますので気をつけてください。また、例えば時期を変えて同じ自治体に2回ふるさと納税を行った場合は、その2回とも申請をしなければいけません。1枚の紙に合算して申請することはできないので注意しましょう。ちなみに、先ほど寄付をする自治体は5つまでと説明しましたが、6回以上の寄付でも、寄付先の自治体が5つまでであればワンストップ特例制度の利用対象となります。
まとめ
いかがだったでしょうか。寄付した自治体が扱っている返礼品によっては、非常にお得な恩恵を受けられ、また税金対策にもなるふるさと納税ですが、その制度が広まっていくにつれて様々な課題が持ち上がって来ました。ふるさと納税で多くの特典を受けることは消費者にとってのメリットなのですが、寄付先の自治体を応援するという気持ちを忘れないようにしましょう。
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