大地の成り立ちを感じられる、「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」

2019.06.21

島根県に属する隠岐(おき)。島根半島から40キロから80キロに位置し、4つの大きな島と180余りの小島で構成されている自然が豊かな諸島です。
2013年9月には、「ユネスコ世界ジオパーク※1」として認定され、その壮大な景観と地質学的にも価値のある自然遺産は、世界的にも注目を集めています。
今回は、その絶景から大地の成り立ちを感じられる「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」の魅力をご紹介しましょう。

 

※1 「ユネスコ世界ジオパーク」は、地層、岩石、地形、火山、断層など、地質学的な遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間とのかかわりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的とした事業です。ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画(IGGP)の一事業として実施されています。(文部科学省HPより)

 

隠岐ユネスコ世界ジオパークはどいうところ?

隠岐諸島

隠岐諸島では、有人島が4つあります。「島後」と呼ばれる大きな島(隠岐の島町)と少し小さめの「島前」と呼ばれる西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)で、3町1村の自治体があります。そのほかにも180余りの無人島がありますが、世界ジオパークに指定されているのは4つの島の陸域とその海岸線から1kmの範囲になります。
隠岐諸島が世界ジオパークに認定された理由は、その変化に飛んだ歴史にあります。現在では想像もつきませんが、太古の昔にはユーラシア大陸と一体化していて、その後は湖底に沈み、海底に沈んだ時期もあります。火山での隆起や島根半島と陸続きの時代を経て、現在では離島としての姿を見せています。
この世界的に見ても珍しい歴史によって、隠岐諸島では「独自の生態系」、「貴重な地質資源」を見ることが出来ます。そして、忘れてはならないのが、「隠岐諸島に住む人々の文化」。隠岐ユネスコ世界ジオパークは、この3つの要素が認定の理由であり、島の見どころでもあるのです。

 

絶景で、大地の成り立ちに思いを馳せる

国賀海岸

摩天崖

西ノ島にある約13kmにも渡る断崖絶壁。大規模に海に削られた海食崖で、風光明媚というよりは荒々しく、大地の断片を見ているような感覚にとらわれます。長い海岸線には、国内最大級の高さ257mにもなる「摩天崖」、海蝕によって生み出されたアーチ状の岩「通天橋」などの奇勝が見られます。
一方では、牛や馬がのんびりと放牧されているなかで、国賀海岸海岸を一望できる「赤尾展望台」や夕陽が沈む頃にはローソクのようなシルエットを見せてくれる「ローソク岩」など、心休まるスポットもあります。

 

通天橋

赤壁

赤壁

知夫里島の西側に位置する「赤壁」。約1kmの崖は、その名の通り赤い岩肌が目立ちます。よく見ると赤だけではなく、黄色や茶色など色とりどりの岩が見つかるでしょう。
これは、500万年から600万年前に活動していた火山岩といわれています。このはるか昔には西ノ島にある焼火山の活動が活発でカルデラ火山を形成、知夫里島は外輪山を構成していたのです。その名残りは、展望台から眺めることができ、同時に夕暮れ時には夕陽に照らし出される鮮やかな色彩も堪能できます。

 

隠岐の歴史にふれてみる

由良比女神社

日本で最も古いとされる歴史書「古事記」。そのなかで、よく知られている「国生み」では、伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)が大八島の3番目として隠岐島(隠伎之三子島:おきのみつごのしま)を生み出しています。それだけ隠岐諸島は古来から重要な土地だったのでしょう。
それを物語るように、隠岐諸島には古い神社が多くあります。特に格が高いとされる「伊勢命神社」、「水若酢神社」、「宇受賀命神社」、「由良比女神社」は隠岐四大神社と呼ばれ、長く続く信仰の対象としてだけではなく、文化的な資料の側面からも大切に保存されています。

 

遠流の地としての隠岐

後鳥羽上皇を祀った隠岐神社

隠岐諸島は、700年ころから公家や天皇などの流刑地として定められ、有名な「承久の乱」で破れた後鳥羽上皇も、この地に配流されて19年後に崩御したと伝えられています。
遠流の地として数々の公家や文化人が配流された影響を受け、隠岐ではさまざまな文化も伝えられたようです。神職などが神に踊りを奉納する「神楽」をはじめ、各地域で伝統的な祭りが開催されています。

 

隠岐ユネスコ世界ジオパークは遊べるスポットも満載

高速船

ユネスコ世界ジオパークの趣旨には、「新たな観光資源として地域の振興を目指す」ことも掲げられています。
その趣旨通りに、隠岐諸島では、観光地として遊べるスポットも充実。海中が覗ける「海中展望船あまんぼう」やスキューバダイビングセンター、種類豊富なお風呂が楽しめる日帰り温泉「隠岐温泉GOKA」など、子供から大人まで楽しめます。
隠岐へのアクセスは大阪伊丹空港と出雲縁結び空港からの飛行機と、境港、七類港からの高速船・フェリー便。離島ではありますが、アクセスは非常に良いのも特徴です。
ぜひ、世界的に認められている景観と歴史、そして遊べるスポットもある、隠岐ユネスコ世界ジオパークを訪れてみませんか。

 

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