ふるさと納税の進化系!ガバメントクラウドファンディングとは?

2017.09.07

ふるさと納税というと、名産品・特産品などが返礼品としてもらえてお得、というイメージが強いですが、お金の使い道に共感したり、応援したい自治体に寄付したいという考えを持つ人も増えています。

 

今回は地域活性化のプロジェクトを立ち上げる目的で、ふるさと納税の寄付先として自治体が出資を呼びかける「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」について解説いたします。

 

政府(自治体)によるクラウドファンディング

クラウドファンディングとは、個人や企業がインターネット経由で不特定多数の人から少額の資金を寄付や投資などの形で集め、プロジェクトに必要な資金を調達する仕組みのことです。資金を提供した見返りがどのようなものかによってさまざまなタイプがありますが、自治体がプロジェクトの実行者(オーナー)となっているものが、ガバメントクラウドファンディングと呼ばれています。

 

既にさまざまなふるさと納税ポータルサイトで、名称は違っていても寄付の受付を行なっています。今までも福祉や医療、子育て支援といった使い道から選んで寄付ができましたが、ガバメントクラウドファンディングでは更に具体的な内容があらかじめ提示されているのです。

 

実際に寄付の募集がされている、または既に成立したものをいくつか紹介しましょう。

 

原発事故後の被災地で診療を続けていた病院を存続させよう!(福島県広野町)

出典:広野町のホームページ

東日本大震災における原発事故後、一時はほとんどの住民が避難をしていた福島県双葉郡広野町では、事故後も唯一診療を続けていた病院を存続させるための寄付を募集していました。(2017年2月末に募集は終了)

 

たった1人常勤していた院長が亡くなり存続が危ぶまれていたところ、町が主体となり、ふるさと納税の仕組みを通じてガバメントクラウドファンディングで寄付の呼びかけをしました。

 

目標金額250万円を大きく上回る寄付が集まり、当初の目的だった非常勤医師などが町を訪れる際の交通費宿泊費の補助ではなく、常勤医師が確保でき、継続的な診療体制の維持が可能となりました。更に、残った寄付金で救急患者受入支援事業などの財源にもするそうです。

 

地域医療を守るため原発事故後唯一留まった高野病院を支援しますへのリンク

地域医療を守るため原発事故後唯一留まった高野病院を支援します(福島県広野町)

東京電力福島第一原発事故後、一時ほとんどの住民が避難した福島県広野町で、唯一診療をつづけた高野病院。しかし昨年末、ただ一人の常勤医・高野院長が火事で亡くなり、病院は存続の危機に。広野町が地域医療の崩壊を防ぐため「ふるさと納税制度」を利用した寄付募集を開始します。(原文ママ、現在は受け付け終了)

 

獣害対策に!イノシシの骨をスープのダシに使ったラーメン店を開業(愛媛県今治市)

出典:今治市のホームページ

TVなどでもイノシシなどの獣害に悩まされているニュースが度々流れてきますが、愛媛県今治市では、イノシシの骨を使った「猪骨ラーメン専門店」を開業することで、獣害対策を兼ねつつ新たな名物を生み出し、地域の活性化につなぎたい、というプロジェクトを募集しています。

 

今治市の大三島だけでもイノシシによる被害が1000万円を超え、柵を設置するなどの対策をしたものの、あまり効果がありませんでした。そこで、イノシシ肉を地域資源として活用するアイデアが生まれました。

 

特に骨まで使えれば捕獲後の処分も楽になるし、老若男女問わず親しみのある食べ物であるラーメンに期待が集まったそうです。チャーシューもイノシシの肉で作り、猪骨ダシのコクのあるスープに大三島産のレモンを絞って食べると更に美味しくなるそうで、イベントなどでも好評だったため、実店舗を構えようということになりました。

 

有害鳥獣駆除ビジネスの活性化と地域の新名物にすることを目標にしています。8月10日の時点で募集開始からまだ10日ほどしか経っていませんが、目標金額の30%を超えた資金が集まっているようです。

 

イノシシを使った「猪骨ラーメン専門店」を開業して、しまなみの獣害対策&新名物誕生を!へのリンク

イノシシを使った「猪骨ラーメン専門店」を開業して、しまなみの獣害対策&新名物誕生を!(愛媛県今治市)

「害獣を資源に変える」ため、地域団体や事業実行主と共にイノシシに新たな価値を加え、皆さまに気軽に味わっていただける場を作ります。メインは、肉だけでなく骨まで活用した「猪骨ラーメン」。専門店としてはおそらく日本初となるでしょう。地域課題を解決しつつ新たな名物を生み出すこのプロジェクトに、皆さまのご支援をぜひともよろしくお願いいたします。

 

一尺玉の花火を打ち上げるために(和歌山県橋本市)

出典:橋本市のホームページ

和歌山県橋本市では、市内で開催する夏祭りの花火大会で一尺玉の花火を打ち上げるためにガバメントクラウドファンディングで寄付を募りました。1万円以上の寄付者には、花火師が作った花火玉のレプリカをプレゼントするという特典もありました。

 

火薬が入っていないだけの本格的で希少なレプリカとして注目を集めました。(現在は終了しています)

 

”紀の川最大”一尺玉大輪の打ち上げを目指して(紀の川橋本SUMMERBALL)へのリンク

”紀の川最大”一尺玉大輪の打ち上げを目指して(紀の川橋本SUMMERBALL)(和歌山県橋本市)

「害獣を資源に変える」ため、地域団体や事業実行主と共にイノシシに新たな価値を加え、皆さまに気軽に味わっていただける場を作ります。メインは、肉だけでなく骨まで活用した「猪骨ラーメン」。専門店としてはおそらく日本初となるでしょう。地域課題を解決しつつ新たな名物を生み出すこのプロジェクトに、皆さまのご支援をぜひともよろしくお願いいたします。

 

ガバメントクラウドファンディングでふるさと納税をさらに有効活用!

このように、全国の自治体がさまざまなガバメントクラウドファンディングの募集を始めています。
寄付する側からしても具体的な使いみちが分かれば、より応援する気持ちや興味がうまれ、税金への意識も高まりますよね。従来のふるさと納税と同様、税金控除ができて、返礼品ももらえるケースがほとんどです。

 

国からの通達もあり、豪華過ぎる・還元率の高いお礼の品は少なくなることが予測されますが、これからはお礼の品のお得度だけではなく、使い道で寄付先を決めてみてはいかがでしょうか?(平成29年8月上旬現在の情報です)

 

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