ふるさと納税の返礼品については、これまでも還元率を3割以下にすることや、金券や家電・家具などを止めるよう要請していた総務省が、今度は原則として返礼品を地場産品に限定するよう通知を出しました。
一部では返礼品による寄付金争奪戦とも言われているふるさと納税を、本来の趣旨に沿ったものにしようとの狙いがあるようですが、「地場産品」の線引きなどはっきりしないところもあるようです。
詳しく解説いたします。
返礼品には「区域内で生産されたもの・サービス」を
平成30年4月1日付で総務省から出された通知では、ふるさと納税の返礼品について「区域内で生産されたものや、提供されるサービスとすることが適切」であり、「制度の趣旨に沿った良識ある対応」を求めています。
また、1年前の通知にあった還元率上限の徹底についても再要請しています。
どちらも拘束力のない「努力義務」レベルでの自粛要請ですから、自治体がそれに従うかどうかは自治体に判断が任されますが、地場産品に乏しい自治体などは頭を抱えているようです。
「地場産品」の線引きがはっきりしないケースも
地場産品と言ってもその線引きについて、総務省ははっきりと明記していません。
加工品など一部その区域で作業をすれば「地場産品」として認められるのか、姉妹都市同士で特産品を相互提供している場合はどうなのか、などはっきりしていないものもあります。
生まれ故郷や被災地に対する貢献と、地場産業の振興といったふるさと納税本来の趣旨を徹底させるという狙いから、東日本大震災の被災地である宮城や福島などの特産品は例外とされています。
—地場産品として認められるもの—
- ・地元で獲れた農産物・畜産物・海産物
- ・地元で制作された工芸品など
- ・東日本大震災被災地の特産物(例外として)
—地場産品として認められないもの—
- ・輸入食品(ワインなど)
- ・海外ブランドの鍋や食器
- ・縁のない地域の特産品
「縁のない地域」とは、例えば姉妹都市などでもなく、「海のない内陸地にある自治体がカニなどの海産物を」、「北海道の自治体が九州や四国の特産品を」、ということです。
自治体間の格差が広がる懸念も
自治体によって特産品の数は違います。
特産品が多い自治体と少ない自治体では格差が広がる懸念もあります。
もともと特産品が少ない自治体は寄付金を集めるために、カタログギフトや他地域の特産品を返礼品のラインナップにしているところが多く、今回の通知で取りやめた場合、大きな減収につながるケースもあるでしょう。
また、総務省がたびたび自粛を求める通知を出すことは、自治体の自主性が奪われていると懸念する声も出ているようです。
総務省は「活用事例」を公開しクラウドファンディングを推奨?
これに対し、総務省側では内閣府と連携し、ふるさと納税ポータルサイトに「ふるさと納税活用事例集」を公開しています。
各自治体の工夫を参考にクラウドファンディング型のふるさと納税を推奨しています。
野田総務相も「新たに地場産品を開発する発想を持ってほしい」と平成30年4月からスタートした「ふるさと起業家支援プロジェクト」などの活用を促しています。
返礼品を原則として地場産品に限定することは、ふるさと納税の趣旨に沿いますが、一方で自治体の格差を広げるリスクも伴います。
各自治体が新プロジェクトなどを有効活用し、ふるさと納税を更にいいものにできるように応援したいですね。
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