喫煙者よりも有害な受動喫煙の対策にふるさと納税が活用されている2つの事例

2018.08.02

2018年4月から東京都で「子どもを受動喫煙から守る条例」が施行されました。

 

他の自治体でも受動喫煙防止条例を施行しているところが多いです。

 

しかし、条例だけでは不十分なケースもあるようです。
そこで、受動喫煙防止対策にふるさと納税を活用している自治体の事例を詳しくご紹介します。

 

受動喫煙防止に先進的なまちづくりのために

奈良県生駒市では、平成29年10月から「歩きたばこ及び路上喫煙の防止に関する条例」を施行しています。

これは、たばこの火によるヤケドや持ち物の焼け焦げなどの被害、たばこの煙による健康被害を防止し、喫煙者・非喫煙者ともに健康な生活を維持するためです。

 

平成30年4月からは市職員が勤務時間内に喫煙することを禁止。
昼休みなど休憩時間に喫煙した場合は、その後45分以内はエレベーターの使用を禁止にしました。

そして6月からは近鉄生駒駅周辺を「歩きたばこ禁止区域」に指定し、取り締まる予定だそうです。

 

「まちぐるみで受動喫煙に取り組んでいることを示したい」という市長の言葉からも、生駒市が受動喫煙防止対策にとても積極的ということがわかります。

 

 

しかし、条例を施行するだけではなく、喫煙者が禁煙できるような支援なども必要です。

 

そこで生駒市はふるさと納税の寄付金の使い道として
「受動喫煙防止の先進的なまち・いこまをつくるコース」を新設
しました。

 

このコースに寄付されたお金は、

 

  • ・生駒市内の企業や飲食店などで禁煙を推進させるための活動
  • ・喫煙者の禁煙を支援するセミナーなどの開催費用

 

などに使われます。

 

受動喫煙は喫煙者本人より有害

受動喫煙とは、自分の意志に関係なく他の人が吸うたばこの煙を吸わされてしまうことです。

 

たばこの煙は、吸っている本人が吸い込む「主流煙」と、火がついたたばこの先端から出る「副流煙」があります。

副流煙は主流煙よりも有害物質濃度が高い上に、目や鼻などの粘膜を強く刺激するアルカリ性です。

 

喫煙者本人は健康被害を知った上で自分の意志によって喫煙していますが、受動喫煙は違います。

特に子どもや妊娠中の女性、喘息などの持病を持っている人にとって副流煙による受動喫煙は、無理やり健康を害される行為とも考えられ、最悪の場合、命の危険につながることも。

 

市民が健康で快適な生活の維持をはかるために

「喫煙後45分間のエレベーター使用禁止」はニュースにもなりましたが、受動喫煙対策に積極的で、ふるさと納税を活用している自治体は生駒市以外にもあります。

 

北海道美唄市びばいしでは、生駒市よりも早い平成28年7月から「美唄市受動喫煙防止条例」を施行しています。

 

条例施行前からふるさと納税の寄付金使い道として受動喫煙防止対策が選べ、平成27年度には13件・38万円の寄付がありました。

平成28年度には45万円、そして29年度には100万円以上と、着実に多くの寄付が集まっています。

 

美唄市ではこの寄付金を、「喫煙と受動喫煙防止対策のための啓発事業」として、講演会の開催や子どもたちへの喫煙防止教育などをサポートするための費用にあてています。

 

受動喫煙防止を条例にしている自治体は多いですが、罰則がなかったり、あっても適用が困難なことも多く、扱いの難しい問題です。
生駒市や美唄市のように、受動喫煙に関してより効果的な対策ができる自治体が増え、喫煙者にも非喫煙者にも過ごしやすい世の中になるといいですね。

 
 

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