ふるさと納税が注目されている1番の理由は、返礼品として各地の特産品などがもらえることです。
還元率が50%前後のものもあり人気でしたが、2017年春に総務省が還元率を30%以内に抑えるよう通達を出したことから、各自治体では廃止するケースも増えています。
人気の返礼品を廃止することでふるさと納税の寄付額が減少するケースが多い中、前年度よりも寄付額がUPした自治体がありました。
今回は、人気だった高還元率の返礼品を廃止しても寄付額が前年よりもUPした理由について詳しく解説いたします。
寄付額は前年度より5億円以上上回る見通し
大分県国東市は肉や野菜、海産物など名産品に恵まれた土地にあり、その特産品の数々を返礼品にラインナップしています。
ここ数年の寄付額は県内トップで、2016年度は約24億9,000万円。
国東市内にはCanon(キャノン)の工場があり、そこで生産されたデジカメも返礼品として選べることも人気の理由でしたが、その 還元率は約47.5% だったこともあって2017年秋に廃止されることになってしまいました。
一般的に、ふるさと納税のピークは年末と言われています。
その前に人気のデジカメを返礼品のラインナップから外したことで、「寄付額の減少がするのでは?」と不安視されていました。
しかし、実際には2017年度の寄付額は30億円を超える見込みとなっています。
国東市の寄付額がUPした理由
国東市がデジカメを廃止したにもかかわらず、前年よりも寄付額が多かった主な理由は、広報の方法を見直したことです。
1.インターネット広報の強化
インターネットではさまざまな広告を見かけます。
国東市では、行動ターゲティング広告を活用することで、ふるさと納税に興味を持っていると思われる人にターゲットを絞り、バナー広告が表示されるようにしました。
例えば、検索エンジンのキーワード検索で「ふるさと納税」と入力した人や、ふるさと納税関連のページを閲覧している人は、ふるさと納税に強い関心を持っていると考えられます。
そんな人は ふるさと納税のバナー広告を見かけると、クリックする可能性が高くなる傾向があるのです。
寄付額をUPさせるには、まずは返礼品を知ってもらう必要があります。
そのため、バナー広告をクリックするとふるさと納税ポータルサイトにある国東市の返礼品紹介ページにつながるようになっています。
アクセスが増えればポータルサイト内のアクセスランキングも上位になり、ポータルサイトにアクセスしていた他の人も国東市のページを閲覧する機会が増えるでしょう。
バナー広告のデザインも返礼品を前面に出したものや、市長を登場させたものなどいくつも用意することでよりクリック率がUPしました。
バナー広告は2017年11月中旬から12月末までの間に約1,000万回表示され、そのうち約7万回がクリックされたそうです。
2.主婦層をターゲットにした雑誌広告
NHKの番組「きょうの料理」テキストに広告を掲載し、ふるさと納税に関心のある人、何より寄付に結びつきそうな主婦層をターゲットにすることで認知度を格段にUPさせることに成功しました。
また、雑誌に広告を掲載することで、インターネットを使用していない層へもアピールできます。
テキストの読者は食に関心のある人が多く、国東市のおいしそうな特産品に興味を持つ人も多かったのでしょう。
3.返礼品のラインナップに工夫
ふるさと納税ポータルサイトへのアクセスを増加させたり、雑誌で広告を掲載しても、魅力的な返礼品がなければ折角のチャンスも水の泡。
沢山の寄付があっても返礼品の調達コストが高ければ、市の財政を圧迫することにつながります。
しかし、業者を介さないことで購入コストを寄付額の4割程度に抑えることに成功しました。
国東市では返礼品のラインナップにも工夫を加えました。
また、ふるさと納税でしか手に入らないセットや興味をひきやすい以下のようなラインナップを並べました。
- ・世界ハム品評会で金メダル受賞の職人が作ったハム・ソーセージのセット(原材料も大分県産100%)
- ・ソーセージとウィンナーの盛り合わせ2.22kgセット
- ・豊後牛の極厚1ポンド(約454g)ステーキ
- ・果汁100%のみかんジュースとりんごジュース(少量パック)計64本セット
少量パックの果汁100%ジュースは小さなお子さんのいる家庭には人気でしょうし、極厚1ポンドステーキなども目を引きます。
こうした人気の返礼品だけで約17億円の寄付が集まったそうです。
国東市ではターゲットを絞った広告をすることで、より効率的にPRが可能となって寄付額UPにつながりました。
ターゲットを絞る経過で得られたデータを基にリアルなニーズもわかり、生産者側でも今後の商品開発に活かしたり、注文が増えたことで雇用を増やした企業もあります。
寄付額が増加しただけではなく、雇用促進やマーケ―ティング効果も得られた国東市のケースのように、プロモーションの仕方を工夫することで他との差別化をはかりながら魅力をアピールしていく自治体が、今後は増えていくかもしれませんね。
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