ふるさと納税の「お得度」バロメーターのように扱われている「還元率」。還元率の高さで返礼品を選んでいる人もいらっしゃるのでは?しかし、還元率が高い返礼品を用意している自治体に寄付が殺到したり、換金性の高い品が転売されるなどの問題も出ています。
今回はその「還元率」について、その計算方法や問題点などさまざまな面から解説いたします。
還元率=(返礼品の市場価格÷寄付した金額)x100
還元率という言葉は巷でいつの間にかできた言葉で、正確に定義付けはされていません。総務省などでは「返戻割合」と表現していますが、世間では圧倒的に還元率のほうが使われています。
還元される率、つまり戻ってくる割合という意味ですが、
(返礼品の市場価格÷寄付した金額)x100
で計算することができます。
例えば、1万円寄付をした人が、5,000円相当の返礼品を受け取った場合、「還元率は5割(50%)」になります。
還元率はふるさと納税のお得度バロメーター
ふるさと納税のお礼として、寄付先の自治体から送られてくる各地の特産品。基本的に年間2,000円の自己負担だけでいろいろな特産品が貰えるというのは、ふるさと納税が注目され始めた大きな理由と言えるでしょう。
TVなどメディアでも「こんなに豪華な特産品がたったの2,000円で手に入る」というような取り上げ方をされていることがほとんどです。
インターネット上でも返礼品の還元率をランキングしているサイトが目立ちます。
返礼品の還元率は30〜40%が一般的
返礼品の中でも家電やPC、商品券など換金性の高いものを転売するなどのケースが問題になる以外に、高還元率の返礼品のある自治体に寄付が殺到してしまったこともあり、総務省から返戻割合(≒還元率)は3割以内にするよう通達がありました。
そのため、返礼品の還元率は30〜40%くらいが一般的になってきました。
還元率100%超のカラクリ
「還元率100%超」とうたっている返礼品の紹介記事を見かけることもあるのではないでしょうか。100%を超える還元率の返礼品を用意している自治体の財政が心配になってしまいますが、実はこれにはカラクリがあるのです。
還元率を計算する際に参考にする返礼品の価格ですが、これはその品物が市場に出た場合の価格もしくは定価になります。実際に自治体が仕入れた価格とは異なり、その仕入れ価格は公表されていません。地元の特産品ですし、返礼品を扱っている生産者や業者の協力もあるでしょうから実際の還元率はそこまで高くないでしょう。
還元率を下げた途端に寄付額が減少するケースも
以前は高還元率の返礼品で多額の寄付を集めていた自治体が、通達によって還元率を下げた結果、寄付額の大幅減少となるケースも多いようです。寄付額が下がっただけならまだよかったのですが、返礼品を扱う業者の中には増産体制のところ急に売り上げが落ちたため、経営が傾きかけるケースも。
2017年夏に現職の総務大臣が「返礼品の返戻割合についてはそれぞれの自治体に任せる」と発言したこともあり、再び還元率を上げている自治体もあるようです。
「還元率」に振り回されないように
お得度を求めるあまり、高還元率の返礼品を手に入れたくなるのは当然のことかもしれません。しかし、ふるさと納税には普段選べない税金の使い道が自分で選べ、支援したいと思える自治体に自由に寄付できる大きなメリットもあります。
還元率の高さも実際は目安でしかありませんから、あまり惑わされずに寄付先を選んでみるのもいいかもしれませんよ。