水の郷!滋賀県高島市で歴史をめぐる旅

2017.09.24

琵琶湖を望む滋賀県高島市は、豊かな自然に囲まれた美しい街です。エリアによって多様な魅力を持ち、観光名所もたくさんあります。今回は、高島市で歴史を感じて散策できる場所にスポットを当てました。高島市で訪れていただきたい場所をご紹介します。

幾多の歴史が眠る池、乙女ヶ池

乙女ヶ池

琵琶湖の内湖、乙女ヶ池は、JR近江高島駅から徒歩約5分の場所にある小さな湖ながら、数々の歴史の舞台となってきました。
万葉の時代は山の麓までが琵琶湖の入り江。当時この一帯は「香取の海」と呼ばれていました。飛鳥時代、乙女ヶ池の西側の山は壬申(じんしん)の乱の近江朝の基地としてお城があったといわれています。
奈良時代はこの一帯が戦場となり、敗れた惠美押勝(えみのおしかつ)が捉えられ処刑されたのも、このあたり。戦国時代には、織田信長の命により大溝城が築かれました。乙女ヶ池は大溝城の外濠として機能していたのです。

乙女ヶ池(内湖)と太鼓橋

現在、乙女ヶ池は県の園地公園となりました。真ん中にかかる風情ある橋は「太鼓橋」といい、観光や散策を楽しむ人を迎えています。この池は淡水魚が生息する釣りのメッカとして釣り人達にも親しまれています。

「琵琶湖周航の歌」誕生に隠されたロマン

琵琶湖

琵琶湖について歌った歌の中でも、琵琶湖周航の歌は有名です。「われは湖(うみ)の子」という歌い出しで始まるこの歌は、高島市と深い関係があるのです。今年2017年は、琵琶湖周航の歌が誕生してからちょうど100年。歌い継がれてきたこの歌には、素敵なエピソードがありました。
  

琵琶湖周航の歌が広く世に知られるようになったのは、多くの歌手が歌ってから。なかでも歌手の加藤登紀子が1971年に歌った際は、大ヒットとなりました。この頃の歌集には作詞作曲者の名前の記載はあるものの、それが誰なのか分からないままでした。熱心な研究者が調査に乗り出し、聞き込みなどから歌の誕生が明らかになっていきます。

1917年、第三高等学校(現在の京都大学)の水上部(現在のボート部)は琵琶湖周航に出ていました。これは、時計回りに何泊かで琵琶湖を一周するというもの。三保が崎(大津市)を出発した一行は、2日目の夜今津(現在の高島市今津)に宿泊します。その宿で、小口太郎は作詞した歌をみんなのに披露します。その日、ボートを漕ぎながら小口が作詞したという歌は、琵琶湖の美しさや周航のロマンを歌ったものでした。当時流行していた「ひつじぐさ」の曲に合わせみんなで合唱します。これが、今からちょうど100年前に琵琶湖周航の歌が誕生した瞬間です。
  

この歌は、歌詞が完成し、学生たちに歌い継がれ、愛唱歌として広まっていきます。100年前のある夜に、今津で学生たちが何気なく歌った歌が、こうして歌い継がれ大切にされていることにロマンを感じます。JR近江今津駅からすぐの場所には、琵琶湖周航の歌資料館があり、入館料は無料です。多くの歌手が歌う琵琶湖周航の歌を聞くことができ、歌にまつわる資料も展示されています。琵琶湖のほとり、歌詞の舞台となっているそれぞれの場所には、歌碑が建てられ琵琶湖を見守っています。ぜひ、100年前に思いを馳せて、琵琶湖周航の歌にまつわる場所を訪ねてみてください。

当時の面影を今に残す海津の石積み

海津大崎

高島市の海津大崎は、桜の名所として有名です。「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」として、全国で5番目に重要文化的景観に選定されました。

海津の石積み

海津は今津や塩津とともに、古くから湖上交通の港として栄えた宿場町です。海津から西浜へと続く湖岸沿いには、城壁のような高さ約2.5mの石積みが約1.2km続いています。湖岸に石積みがあるのは全国的にも珍しく、海津だけのもの。諸説ありますが、大波から家屋を守り村人を助けるため、甲府藩領高島郡の代官だった西与一左衛門が、代官と協議し幕府の許可を得て築いたという説があり、西浜にある蓮光寺には、その業績をたたえた碑が残っています。江戸時代中期には、ほぼ現在の石積みの状態が完成していたとされています。
積雪量も多く、波や風から家屋を守るために石積みを築かなければならないほど、自然の影響を受けやすかった海津は、湖上・陸上の交通網が整備され、江戸時代には宿場町として繁栄します。

海津の造り酒屋

漁業協同組合の旧倉庫や江戸時代に建造された町家など5軒が重要文化的景観の要素として定められ、今もその姿を残しています。
散策して路地や街道、街並みなどの海津の姿を見れば、宿場町として繁栄してきた当時の面影を感じることができるでしょう。美しい石積みや海津の街並みは、時間がゆったりと流れているようなどこか懐かしい風情があります。
  

滋賀県高島市で歴史を感じられるおすすめの場所をご紹介しました。太古の昔から水とともに暮らしてきた高島市ならではの、水にまつわるスポットです。高島市を訪れたら、当時のエピソードを思いながら散策してみてください。

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