ふるさと納税を始めよう!
仕組みと手続き、自治体と返礼品を完全ガイド

法人がふるさと納税する場合の注意点を解説

2017.11.19

ふるさと納税は、自分で寄付先が自由に選べ、その使い道も指定できます。税金を納めることに対する意識が向上するだけではなく、各地の特産品・名産品が格安で手に入ったり、税金の控除が受けられるというメリットがたくさんある制度と言えます。

 

では、企業など法人がふるさと納税をした場合はどうなのでしょうか?
個人で寄付した場合との違いや、法人がふるさと納税する場合の注意点について詳しく解説いたします。

 

「企業版ふるさと納税」と認められるには条件がある!

企業など法人でも、ふるさと納税はできますが、いくつかの条件を満たしている必要があります。

 

寄付先によっては経費にならないケースも

法人が寄付をした場合、寄付先によって経費になるかどうか税務上の扱いが変わってきます。地方公共団体へ寄付した場合、公共性が高いため全額が経費として認められます。

 

2016年度から始まった企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)では、国から認められた自治体への寄付だけが企業版ふるさと納税として扱われます。
国から認められる条件は次のとおりです。

 


・「地方版総合戦略」を策定する地方公共団体である
・地方交付税の不交付団体である
・東京都・23特別区・東京圏にある不交付団体18市町は対象外
・企業の主たる事務所が立地する地方公共団体に対する寄付は対象外

 

財政的に豊かな自治体などは対象から外れているようです。
自治体側は寄付金の使い道についてあらかじめ国に報告し、地域活性化への効果が期待できると認定される必要があります。

 

企業版ふるさと納税「地域創生応援税制」とは?

企業が地方自治体に寄付し、決算時に寄付金を全額損金算入することで課税所得が約30%の節税ができるのは、従来と同じです。
新しく加わったのは、更に寄付金の30%を納税したことにして、節税効果が60%になったことです。

 

個人のように大きな減額や還付が受けられるわけではありませんが、実質負担額が減るので、より多くの企業が地方自治体を支援しやすくなりました。

 

法人がふるさと納税をする場合の注意点は5つ

法人

基本的な内容は個人のふるさと納税とあまり変わりませんが、注意点が5つあります。

 

寄付の最低金額は10万円

個人の場合、5千円くらいから寄付が可能ですが、法人の場合は最低金額が決まっています。

 

節税効果はあっても実質支出は大きい

10万円寄付した場合、60%分の節税効果はありますが、実質的負担額は約4万円ほどあります。

 

事業所の所在地の自治体には寄付できない

個人の場合、居住地自治体へのふるさと納税が可能です。それどころか大都市圏の自治体の場合、歓迎されるケースのほうが多いでしょう。しかし法人の場合、主たる事業所のある自治体への寄付は禁止されています。

 

「お礼」は受け取れない場合がある

個人では、お礼の品・返礼品を受け取るのは当たり前のようになっていますが、法人の場合、お礼の品がないケースもあります。

 

「お礼」を受け取ると「受贈益」になって法人税がかかる

企業版ふるさと納税でも、お礼の品を受け取れる自治体もあります。しかしここで注意すべき点は、地方公共団体は法人としてみなされるので、お礼の品は法人からの贈与(受贈益)になることです。法人税がかかり、納税額が増えてしまいます。

 

例えば、50万円寄付をした時に、15万円相当のお礼の品を受け取った場合、15万円の受贈益になります。(お礼の品の価値は時価総額)

 

しかし、食品などで従業員に分配すれば福利厚生扱いになるケースもあるようです。

 

法人のふるさと納税は節税よりもイメージアップ

法人でふるさと納税をする場合、個人でする場合ほど税金の減額効果は期待できません。更にお礼の品も受け取れない場合や、受け取った場合は受贈益として課税対象になるケースもあります。

 

しかし、企業にとって地方自治体を寄付などで支援するのは、その企業が社会的責任(CSR)にしっかり取り組んでいるといったイメージアップにもつながります。

 

個人のふるさと納税とは異なる点もありますが、地方自治体を支援し、その活性化をサポートするという点では全く同じと言えるでしょう。

 

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