各地の名産品が2,000円で手に入り、税金の控除も受けられると人気上昇中のふるさと納税ですが、フリーランス(個人事業主)の人がふるさと納税する場合にはいくつか注意する点があります。詳しく解説いたします。
フリーランスの場合は控除上限額が計算しにくい
ふるさと納税では、産地の名産などの返礼品が基本的には実質2,000円の自己負担で手に入ります。しかし、寄付をしすぎるとその分自己負担額が増えてしまい、お得感は減ってしまいます。
そのため、年間の総収入金額と家族構成などがわかれば、自己負担額が2,000円を超えないギリギリの境界線の寄附金額の目安がさまざまなふるさと納税ポータルサイトなどで公表されています。
しかし、この目安はほとんどが給与所得者向けに作られているもので、フリーランスの場合は少し計算が違ってきます。
控除上限額シミュレーションから出す方法
さまざまなサイトで公開されているふるさと納税の控除上限額シミュレーションからフリーランスの場合の上限額を計算する方法をご紹介しましょう。
確定申告書控えにある「合計収入」「所得金額」「所得控除額の合計」を参考にしてシミュレーションに数字を入力すれば、まず給与所得者の場合の控除上限額が算出されます。
フリーランスの場合はそこから20%程度低い金額=控除上限額と考えておくと、間違いはないでしょう。
中には、確定申告書Bで申告する場合のシミュレーションがあるサイトもあるようなので、そちらを活用するのも良いですね。
経費など控除額が多いとふるさと納税は全額自己負担に!?
1月から12月の収入目安が計算できたら、経費分を引いて所得額を予測しましょう。青色申告する人はそこから更に最大65万円引く必要があります。その合計が0円になる場合は、ふるさと納税しても控除されない、つまりふるさと納税は全額自己負担になってしまうので注意が必要です。
確定申告する際の注意点
ふるさと納税の税控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。フリーランスの場合、毎年確定申告をしているのでそれほど難しいことではないでしょう。
ふるさと納税の申告は「寄附金控除」の欄で
ふるさと「納税」と言ってはいますが、実質は「寄付」なので、寄附金控除の欄で申告します。
ふるさと納税をして返礼品と共に送られてくる「寄附金受領証明書」を参考に、寄付の年月日・金額・寄付先の所在地と名称などを記入します。
確定申告書作成コーナー(国税庁サイト)で確定申告書を作成する場合でも同様です。寄附金の種類の項目には「都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選択します。複数の自治体に寄付した場合も同じように追加して記入しましょう。
寄附金受領証明書を添付書類台紙に貼り付ければ、あとは通常の手続きと同じです。青色申告の場合は、特別控除額(最大65万円)を差し引くのを忘れないようにしましょう。
フリーランスがふるさと納税をする場合に考えられるデメリット
フリーランスの場合、給与所得者と違い固定報酬ではないため、収益の見込みをたてにくくなります。おおよその控除限度額を算出できるのが秋以降になることも多く、思うようにふるさと納税ができないケースも。
気に入った返礼品を見つけても入手が困難
最近はふるさと納税の人気が上昇していて、サラリーマン世帯などを中心にふるさと納税をする人が増えている分、人気の品の入手が難しいケースも珍しくありません。
せっかく気に入った返礼品を見つけても、人気があるものは既に終了していることも。
ワンストップ特例制度が使えない
もともと確定申告する必要のない給与所得者には便利な「ワンストップ特例制度」は、ふるさと納税の人気が上昇した理由の1つと言えます。
この制度は、確定申告する義務のあるフリーランスの場合は利用できないので不便に思えますが、寄附金控除の欄に追加で記入するだけなので、実際はそれほど不便には感じないかもしれませんね。
しかし、ワンストップ特例制度が開始されたことで、今まで確定申告が面倒だからとふるさと納税をしなかった人たちが寄付を始めた結果、やはり人気の品が手に入りにくくなったのはデメリットと言えるでしょう。
確定申告よりも先に寄付金を支払う
通常の税金(所得税や住民税)は、確定申告後に納めますが、ふるさと納税のような寄付は確定申告よりも前に払う必要があります。つまり、ふるさと納税は税金の前払いになるのです。しかも、払いすぎてもその分が還付されるわけではありません。
一度に数万円単位で現金が支出されてしまうので、現金商売の人にとっては特に注意が必要です。
このようにフリーランスの場合、ふるさと納税のメリットを最大限活用するためには気をつけるべきポイントがいくつかありますが、応援したいと思える自治体を寄付でサポートするという本来の目的に加えて、返礼品と税控除を無理なく受けられるはやっぱり魅力ですね!