群馬県富岡市一ノ宮に鎮座する「一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)」は、約1500年の歴史ある神社で全国的に珍しい「くだり参道」の神社として知られ、年末年始は多くの初詣客で賑わいます。
今回は、「一之宮貫前神社」の歴史や見どころをご紹介します。
「一之宮貫前神社」はどんな神社なの?
一之宮貫前神社大鳥居
歴史と祭神
「一之宮貫前神社」は群馬県富岡市の一ノ宮の神社として、西暦531年に現在の場所に社を定めたのがはじまりといわれています。
上野国の一宮だったと記されている書物もあり、旧国名時代はこの地域で最も格式の高い神社であり崇敬を集めていたことがうかがえる、この地域全体の守護神です。
御祭神は経津主神(ふつぬしのかみ)と姫大神(ひめおおかみ)。
男女の土地神様で、地域のご縁を結び、災いを八方まるく治めるご利益があるされています。
良縁や人生全般の守護、生活の守り神として、長きにわたって地域を見守り続けてきました。
物部姓磯部氏の氏神である経津主神は、建国の祖神であり、武神です。
神話にも登場する武器(剣)のひとつ、布都御魂(ふつのみたま)を神格化したとする説から、刀剣の神ともいわれています。
姫大神の由緒はわかっていませんが、養蚕と機織りの神・生活の守護神として祀られています。
富岡製糸場の発展には姫大神のご利益があったのでは、と想像してみるのも楽しいですね。
祭事
熱した錐(きり)を鹿の肩甲骨に刺して、その割れ具合で旧村の吉凶を占う鹿占神事(しかうらしんじ)や巫女さんが織った機を奉納する機織神事(はたおりしんじ)、祝詞奏上や舞の奉納などを行う、例大祭にあたる御戸開祭(みとびらきさい)など、古くからの神事が今も残っています。
「一之宮貫前神社」では、15種類もの御祈願が予約なし、年中無休で行われているため、年間を通して厄払いなどで多くの人が訪れます。
全国的に珍しい「くだり参道」の神社
一之宮貫前神社
一之宮貫前神社は、参道を下った場所に社殿がある全国的に珍しい「くだり参道」の神社として知られています。
「神は高いところに在る」という考えから、一般的な神社は本殿を参道より高い位置に設定されていますが、一之宮貫前神社は参道の正面から石段を上り、大鳥居、総門をくぐり石段を下った場所に社殿があるという、珍しい構造をしています。
確かに、下ってからのお参りはなんとも不思議な気持ちになりそうですね。
このように変わった構造になっているのは、もともと蓬ヶ丘(よもぎがおか)と呼ばれる丘陵の斜面の谷間に神様をお祀りしていたためだそうです。
下った先に社殿がある神社を「くだり宮」と呼び、一之宮貫前神社は宮崎県の「鵜戸神宮(うどじんぐう)」、熊本県の「草部吉見神社(くさかべよしみじんじゃ)」と共に、「日本三大くだり宮」の一つに数えられています。
鳥居の先の下り参道は傾斜の急な石段となっていますので、お参りをされる際は、足元に十分ご注意くださいね。
拝殿の彩色(Wikipedia参照)
参道を下った先に、まず楼門があります。
楼門の背後には拝殿、その奥が本殿です。
鮮やかな極彩色の漆塗りが施された優美な姿は、近くで見る程に圧倒されますよ。
本殿(Wikipedia参照)
本殿は、貫前造という単層二階建て、一之宮貫前神社だけの独特な建築様式で建てられています。
本殿、拝殿、楼門、回廊は寛永12年(1635年)に江戸幕府3代将軍徳川家光の命によって造営されました。
いずれも国の指定重要文化財に登録されていますが、現在の華美な姿になったのは5代将軍綱吉による大掛かりな改修の際だそうです。
平成21年(2009年) には約5年間にわたる「平成の大改修」が行われ、新しく鮮やかな漆が塗られました。
漆塗りは、時が経つと褪色していき周りの木々に馴染んでいきます。。
美しい姿に蘇った、光沢ある鮮やかな漆塗りは今しか見られないそうですよ!
絶対見ておきたい見どころはこちら!
一之宮貫前神社の境内には、本殿や拝殿だけでなく、多くのパワースポットや見どころがあります。
そのうちのいくつかをご紹介します。
訪れた際は、見逃してしまわないよう、気をつけてくださいね。
「かえる」信仰
お祀りされている経津主神は武勇に優れた神だといわれていたことから、戦時中、一之宮貫前神社には多くの参拝客がありました。
そんなある時、総門近くのタブの木に、かえるの形をした大きなさるのこしかけ(きのこの一種)ができました。
それをきっかけに「勝ちかえる」として信仰されるようになり、現在は転じて「無事かえる」と交通安全のお守りとなっています。
本殿横に金箔のかえるの置物があるほか、社務所での授与品(交通安全のお守り)としても人気がありますよ。
樹齢千年の古木
一之宮貫前神社には、樹齢千年を超える古木も多く、見どころのひとつとなっています。
境内にあるイチョウとスダジイの木は樹齢約1000年。
本殿の裏の杉は藤太杉と言われ、なんと樹齢約1200年にもなるんだとか!
藤原秀郷(俵藤太)が平将門討伐に出征する際に、自分の年齢と同じ36本の杉の木を植え戦勝祈願したとする伝説が残されており、藤太杉はこのうちの1本といわれ、一之宮貫前神社の御神木となっています。
また、桜の季節には鳥居へ向かう参道にソメイヨシノが咲き誇り、桜のトンネルが楽しめますよ。
歴史ある神社に1000年という長い時を刻んだ古木が立ち並び、あたりには荘厳な空気が漂います。
ぜひ、両手を広げ深呼吸して、木の神聖なパワーをいただいてください。
一之宮貫前神社の摂末社
一之宮貫前神社を訪れたら抜鉾若御子神社(ぬきほこわかみこじんじゃ)にもぜひお参りしてください。
本殿の左奥にある摂社で、御子神がお祀りされています。
御子神とは御祭神のお子さんのこと。
つまり、経津主神のお子さんが祀られています。
手水舎の上付近、石段を降りた中ほど左手にある月読神社(つくよみじんじゃ)には、月読命(つくよみ)がお祀りされています。
月読命は天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟神とされ、人の心の裏側を見抜く力やタイミングを図る力を授かれるといわれています。
なんだかすごい力がいただけそうです。
こちらも、ぜひお参りしましょう!
まとめ
以上、一之宮貫前神社の歴史や見どころについてご紹介しました。
一之宮貫前神社歴史ある、見どころがたくさんの神社です。
神社の近くには世界遺産の富岡製糸場や群馬サファリパークなどの観光スポットもありますよ。
群馬への観光にお出かけの際は、一之宮貫前神社でパワーをいただいて帰られてはいかがでしょうか。
一之宮貫前神社 公式サイト
詳しい情報は、こちらをご覧下さい。