日本最大の湖で有名な琵琶湖に面している滋賀県草津市。江戸時代、徳川家康が全国と江戸の都を結ぶため整備した五街道の東海道と中山道がぶつかる宿場町「草津宿」として繁栄し、多くの旅人やモノが行き交った交通の要衝地でした。当時の建物や貴重な資料は今も数多く残っており、町を歩けば至る所で当時の息遣いを感じられます。現在は自然があふれる住環境の良さなどから、子育て世代に注目されています。そして、歴史好きのみならず、音楽好きの若者らもどっと訪れる町なのです。その魅力とは……。
歴史好きからフェス好きまでが集う魅力とは
琵琶湖南東部に接する滋賀県草津市は、人口約12万人の都市です。京都からの通勤はJRで約30分と利便性が高く、新幹線、名神高速道路など主要道が通っており、関西都市圏のベッドタウンとして今も発展を続けています。
交通アクセスの良さに加え、のどかな自然環境面から、転入世帯も多く、子育て世代にも注目されています。そんな草津市は、江戸時代から人とモノが集まる活気ある都市だったのです。
その原点は、天下分け目の戦いと言われた1600年の関ヶ原の戦いにさかのぼります。この戦いに勝利し江戸幕府を開いた徳川家康が翌1601年、交通や物流の便利を向上させるため、街道を造り始めました。江戸と全国の地方を結ぶものとして、上方とを結ぶ最も重要だとされた「東海道」を始めとした「中山道」「甲州街道」「奥州街道」「日光街道」の5つの街道です。
この街道沿いにつくられたのが、大名が参勤交代の時に寝泊まりする拠点「宿場」です。草津市は、この宿場町の「草津宿」として整備され、多くの人や配達の荷物が行き交う町として発展してきました。1843年の宿村大概帳によると、草津宿には、大名など高貴な身分の人が寝泊まりする「本陣」が2軒、大名の家来らが寝泊まりする「旅籠(はたご)」が72軒もあり、にぎわっていました。
中山道草津宿本陣門
中山道草津宿本陣門
そして草津市が特筆すべきことは、東海道と中山道が交わる分岐点だったことです。そのため、特に人とモノの交流が盛んで、時の有力者たちにとっても押さえておくべき重要な宿場として注目されていました。
実は、江戸当時のその姿は、今も見ることができます。JR琵琶湖線草津駅の東口から歩いて10分の場所にある史跡「草津宿本陣」。当主の田中七左衛門が開いた1635年から、本陣制度が廃止される明治時代の1870年までその役割を果たしました。昭和に入った1949年には、国の史跡に指定され、現存する本陣の中でも日本最大級の規模を誇り、歴史的価値も高いです。
国指定史跡 草津宿本陣
平成の大修理を終え、現代に甦った最大級の本陣
内部は見学することができ、客室、台所と土間、湯殿、庭園などがあります。誰が泊まっているのか知らせる「関札」や当時の襖絵なども飾ってあり、内装は豪華。当時の様子が再現されており、まるで江戸にタイムスリップした気分を味わうことができるでしょう。
所蔵の大福帳には、忠臣蔵に登場する浅野内匠頭や吉良上野介の名前があり、そのほかにも歴史の教科書にでてくる有名人が。訪れた際には、ぜひ見つけてみてくださいね。
草津街あかり
本陣に合わせておすすめしたいのは、隣接する歴史資料館「草津宿街道交流館」です。旅の道具や道中記類などの資料のほか、宿場街道の町並み模型ではAR(Augmented Reality拡張現実)を使ったタブレットでの解説を聞くことができます。体験コーナーでは、旅装束を身につけて籠に乗ったり、浮世絵を描いてみたりもできますよ。
街のあちこちにも、東海道と中山道の分岐・合流地点を示す火袋付きの常夜灯の「追分道標(おいわけどうひょう)」や町屋建築を見つけることができます。11月には旧街道をキャンドルなど光のオブジェで照らすイベントも開かれ、幻想的な雰囲気を味わえますよ。
住みやすいまちづくり
琵琶湖 湖岸の風景
歴史的な側面だけでなく、現在は音楽イベントや自然環境保護活動でも注目されているのは知っていますか?
歌手T.M.Revolution西川貴教さんが主宰する滋賀県初の野外音楽イベント「イナズマロックフェス」の開催地なのです。草津市が接する琵琶湖の環境保全を掲げたイベントで、滋賀県の観光大使である西川さんが2009年に始めました。最高来場者10万人超を誇る関西最大級のイベントとして定着し、草津の晩夏を盛り上げています。その収益金の一部は、寄付金として市に贈られ、環境保全活動に生かされているんですよ。
会場の烏丸半島芝生広場すぐそばには、琵琶湖の淡水生物を展示し、長さ10mのトンネル水槽を抱える体験型の琵琶湖博物館や、世界最大のスイレン・ギガンテアなど多彩な四季折々の草花を楽しめる水生植物公園みずの森などがあるので、家族で自然を存分に楽しめます。
水生植物公園みずの森
こうした豊かな自然が身近であり、関西都市圏へのアクセスの良さから、暮らしやすいとの声も多いようです。市によると、ある経済雑誌出版社の「住みよさランキング」では、近年、近畿で5年連続1位となったことがあります。生活利便性だけでなく、立命館大学のキャンパスもあり、ファミリー世帯の転入や学生の流入が継続してあります。例えば市民の子育てサークルは50以上もあり、市民活動も活発です。地方の少子高齢化、人口減少が進むなか、とても元気のある町だといえます。
滋賀県立琵琶湖博物館 ナマズ
では、次は、琵琶湖の豊かな水が育んだ食材を中心とした、ふるさと納税の人気返礼品や、おすすめをご紹介します。
琵琶湖が育てた恵みをいただこう
近江牛
純近江牛(草津市ふるさと納税)
まずはなんといっても、日本三大和牛として知られる近江牛です。近江牛は黒毛和種であり、なおかつ滋賀県内で最も長く飼育されたものだけを指します。そのルーツは400年前にさかのぼり、元々は農耕用に使われたいた但馬牛とされています。現在は、美しく美味しい琵琶湖の水や栄養バランスを考えた飼料を使い、草津市など滋賀県内の生産者の手によって丁寧に育てられいます。赤身に脂肪のサシがきめ細かく入っており、ツヤと適度な粘りのある上質な肉質や口どけを生み出すのです。返礼品では、もも肉や、ロース、ハンバーグなど種類も多くあるので、悩みながら選ぶのも楽しいですよ。
近江牛もも肉 (寄附金額:10,000円)
近江牛もも肉 250g
近江牛合挽ハンバーグ (寄附金額:10,000円)
近江牛合挽ハンバーグ(160g)×4個
※冷凍でのお届け
草津メロン
草津メロン(草津市ふるさと納税)
もう一つは、琵琶湖の水をぐんぐん吸って育った草津ブランドの「草津メロン」です。全国でもトップレベルの糖度14度以上の甘さが人気となっています。JA草津市が栽培から、検査、出荷、そして販売までを一貫管理しているため、味も安定しています。学校給食で子供たちに喜ばれる人気モノであるほか、地元の直売所では販売時期になると行列ができるほど。収穫の季節を迎える4月ごろには、要チェックの返礼品ですね。
草津メロン (寄附金額:10,000円)
草津メロン大玉 1玉
子育てや琵琶湖の環境保全に活用
寄付金は、11種類の事業から使い道を選ぶことができます。歴史的または文化的遺産の保全に関する事業や、自然環境の保全に関する事業、教育環境の整備に関する事業などです。これまでの寄付金活用の事業を見てみると、紙オムツの支給や、草津産農産物の保全活動、文化財保存事業補助金、公立保育園・認定こども園の改修費などに充てられています。市にも、寄付者から「琵琶湖周辺は趣があって好き」「温泉の草津(群馬県)に負けないで!」など温かい応援メッセージが寄せられているんです。
自然と歴史的景観が調和し、暮らしやすさが売りの草津市。一方で、全国から若い人が集まるイベントが開催されるなど、活力もみなぎっています。滋賀県の中核都市は、昔も今も、そしてこれからも、多くの人が行き交う町として注目される町であり続けるでしょう。