神奈川県三浦市の正月行事「チャッキラコ」は女性が主役の、真冬の花のような行事です。海と共に生きてきた三浦市の色鮮やかな伝統行事は住民だけでなく観光客にも大人気。一体どんなお祭りなのでしょうか?
神奈川県三浦市はどんなところ?
神奈川県三浦市(みうらし)は三浦半島にある自治体で、三方を海に囲まれているところが特徴です。海に寄り添って生きて来た地域ですから、とにかく海にまつわるものがたくさんあり、「海」や「海産物」が好きな人たちがたくさん訪れます。
特産品の代表は海産物の中でも高級食材として日本でとても人気のあるマグロです。三浦市の「三浦漁港」は関東の遠洋漁業の中心地になっており、マグロなどの遠洋漁業で捕獲できる魚がたくさん水揚げされるのです。地元のグルメにはマグロを使ったラーメンなどが並び、なかなかお店に出まわらないマグロの希少部位なども販売されるとか。昔から海の幸が豊かな三浦市は地場産業に海が大きな影響を及ぼしている「海の市」なのです。
また、三方が海に囲まれている三浦市は、「海の情景が生活のすぐ側にある市」でもあります。地域全体の標高が高めで、段丘が多く、砂浜は少なく規模が小さいです。田んぼは自治体の面積に対し3パーセントしかありません。大きな川が少なく、地域の標高が高いからです。代わりに広がるのは野菜畑です。
想像してみてください。市のまわりが雄大な海。砂浜が少ないですから、海辺は岩が多く段丘となっています。学校や会社への行き帰りの道では、海の向こう側に夕陽が沈むのが見える。夕陽がほんのり染め上げるのは野菜畑。冬には名物の「三浦大根(みうらだいこん)」を干す光景が各所で見られます。生まれ育った地域によってどんな景色に懐かしさを感じるは異なります。それは、生活の中で見ている情景が異なるからです。三浦市で育った方は海産物をもりもり食べ、こうした美しい海の情景を生活の中で見て育ったということですね。
いかがでしょう。三浦市について簡単に知っていただけたでしょうか。そして、三浦市の情景を思い浮かべていただけたでしょうか。では、さらに美しい光景を思い浮かべていただきましょう。
三浦市には「チャッキラコ」という正月の伝統行事があります。女性を中心とした、とても色鮮やかなお祭りです。冬の海町に花開くお祭りの情景は、それは見事なものです。「チャッキラコ」とはどんなお祭りなのでしょうか。
海の都市に花開く伝統行事「チャッキラコ」
チャッキラコ奉納の様子(三浦市HP)
「チャッキラコ」は三浦市に伝わる伝統行事です。女性のみが参加資格を持つお祭りで、小正月に正月の到来を祝うために女性たちが優美な舞を披露します。海神を祀る神社にも舞の奉納が行われる、大漁や商売繁盛を祈願するお祭りでもあります。
チャッキラコの正確な起源は伝わっていません。歴史の教科書にも登場する偉人・源頼朝が浜辺で会った母娘に舞を所望し、母の唄に合わせて娘に舞を披露させたことが起源ではないかと言われます。またある説では、海南神社の奥方が地域の女性たちに舞と唄を教えたことが起源ではないかとも言われます。江戸時代には既に現在のチャッキラコのもとになる舞が存在したことがわかっています。「浜辺の母子の唄と舞」「海の神に仕える奥方が伝えた舞と唄」……三浦市と海の関係を感じさせるエピソードです。
チャッキラコ奉納の様子(三浦市HP)
チャッキラコは「初いせ」「ちゃっきらこ」「二本踊り」「よささ節」「鎌倉節」「お伊勢参り」の全6曲からなる曲(舞の演目)で、総称で「チャッキラコ」と呼ばれます。楽器の伴奏はなく、音頭取りの女性たちが歌う曲目に合わせて扇やチャッキラコ(短冊や鈴をつけた彩竹)を用いて、主に少女たちが踊ります。チャッキラコとは全6曲の曲目の総称であると共に6曲の中でも代表的な1曲の名前、そして舞に使う道具の名前でもあります。
ここでまた想像してみてください。海の町。お正月のぴりりとした冷たい空気の中、晴れ着姿で扇やチャッキラコを持ってひらひらと舞う少女たち。声をそろえて歌うのは、海に寄り添って生きてきた三浦市の女性たちです。想像しただけで、その優美さに感嘆の息が出てしまいます。チャッキラコには豊作祈願の意味もあるとお話しました。確かに海神様もこんなに綺麗な光景を見せられては「今年も大漁にするしかないな」と考えるかもしれないですね。とても美しい、冬の花のようなお祭りです。
チャッキラコは1975年に重要無形民俗文化財へと指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも指定されました。
ふるさと納税には、神に祈りが通じたのだろう大漁によりもたらされたマグロなどの海産物が豊富に並んでいます。お祭りも海と深い関係にありますが、ふるさと納税もまさに「海」という感じです。
ふるさと納税の寄付が支えるチャッキラコ
チャッキラコの様子(ふるりHP)
ふるさと納税で三浦市に集まった寄付は、海の環境を守るための保全事業に活用されています。そして、海を中心とした地場産業の活性化にも使われます。三浦市のふるさと納税返礼品にマグロなどのたくさんの海産物が並ぶのは、寄付が海を守るからなのです。
また、寄付はチャッキラコなどの伝統文化を守るためにも使われています。大漁を祈願する美しい冬のお祭りチャッキラコは観光客も多い関東でも人気のあるお祭りです。海神様も思わず見入ってしまうような美しい舞は、寄付にも支えられているのです。
三浦市の正月行事「チャッキラコ」についてお話しました。日本全国にたくさんのお祭りがあります。チャッキラコは女性限定で舞や歌を披露するお祭りの代表格です。冬の三浦市に響く女性の歌と花のような舞は一見の価値ありです。
ふるさと納税による寄付がこうした伝統行事を守る一助となっています。素敵なお祭りだなと感じた方は、三浦市という自治体にも注目してみてくださいね。
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