京都府に位置する長岡京市は暮らしやすさと歴史が共存する町です。
江戸時代に刊行された『都名所図解』(今で言うガイドブックのようなモノ)に掲載されていた観光名所が今でも残っており、過去から現在まで、多くの人々を魅了しています。
そんな長岡京市では、ふるさと納税の醍醐味ともいえる返礼品を平成28年に廃止しました。
返礼品を廃止したのに、寄付金額は平成27年度の約5倍増。
今回は長岡京市の魅力に迫ります。
長岡京市の魅力はやっぱり歴史!
新緑の季節 光明寺
京都府長岡京市は京都と大阪の衛星都市。
そのため、交通の便は非常に良いです。
交通の便がいい上に、暮らしやすさも兼ね備えている。
そんな町には、のどかな自然や歴史ある神社・お寺がたくさんあり、地元の農産物は絶品です。
長岡京市の魅力は徐々に多くの人々に再発見されていて、昭和45年には約5万人だった人口も、平成23年5月には8万人を超えるようになりました。
長岡京市名産のたけのこが味わえる市内きっての老舗「錦水亭」
「長岡京」という名前に歴史を感じませんか?
実は長岡京市は長い歴史を持つ地域で、約2~3万年前に人々が活動していた痕跡があります。
歴史の授業で習う桓武天皇の時代に、奈良から都を移したことで長岡京が誕生しました。
つまり、長岡京は古代日本の首都だったのです。
そんな長岡京市の観光スポットも由緒あるものばかりで、なんと江戸時代の観光ブックに載っていた名所もあるんだとか!
今回は3つの観光名所をご紹介します。
光明寺
まず紹介するのは光明寺。
熊谷直実という平安時代末期から鎌倉時代初期までを生きた武将をご存知ですか?
名前でピンと来ない方でも、源平合戦や「平家物語」で平敦盛と一騎打ちしてとどめを刺した武将、と言えば思い出すのではないでしょうか?
熊谷直実の騎馬像(埼玉県熊谷市)
伝承によると数多くの殺生に疲れた熊谷直実は、その罪を償おうと法然上人のもとを訪れ、弟子にしてもらいます。
数年間の修行の後、ついに熊谷直実は寺を建設。
これが光明寺の始まりです。
光明寺の本堂は御影堂です。
お寺の雰囲気に圧倒されて、ただ遠くから眺めているだけやなんとなく通り過ぎてしまう人も多いのではないでしょうか?
お寺は建築物だけでなく、敷地全体に渡って細部にまでこだわっているので、近くで見るだけで十二分に楽しむことができるんですよ。
御影堂の注目ポイントは以下の4点!
・法然上人が作った張子御影
・昭和天皇が皇太子だった時にお植えになった松
・屋根の上の鬼瓦
・動物たちの飾り彫刻
御影堂は、応仁の乱などの戦に巻き込まれ何度も火災に遭い、創立当初の建物は残っておりません。
現在の建物は約300年前の江戸時代に建てられたそうです。
目に見えるモノ以上の歴史が御影堂には眠っているんですね
光明寺の紅葉
光明寺は季節を問わず楽しむことができますが、おすすめは秋です。
秋には真っ赤なもみじがお寺までの道を赤く彩ります。
この時期にはカメラ片手に紅葉狩りをするのもいいですね。
次に紹介するのは、無類のビール好きにはたまらないビール工場見学です。
JR長岡京駅から運航している無料シャトルバスに乗って、<天然水のビール工場>京都ブルワリーまで向かいます。
サントリーのビールは水からこだわっています。
ビールに合う最高の天然水を探した結果、サントリーは京都の長岡京市に第2の生産拠点を持つことにしたのです。
ビール工場見学では素材選びから、仕込み・発酵工程、そしてパッケージングまでビールが完成するまでにかかる全ての工程を見学することができます。
特に注目していただきたいのが、パッケージングです。
有名なザ・プレミアム・モルツの瓶を製造しているのは、このサントリー京都ブルワリーだけ!
工場見学が終わったら、お待ちかねのザ・プレミアム・モルツの試飲タイム♪
サントリーのこだわりを知り尽くした後に飲むビールは格別です。
ビールで最高の締めをしましょう。
また工場内ではお土産を買うことができれば、記念撮影を楽しむこともできます。
ビール好きなら一度は訪れたいですね!
長岡天満宮
最後にご紹介するのは、長岡京市で絶対に忘れてはいけない観光スポット、長岡天満宮。
天満宮と聞いて思い浮かべるのは、福岡県にある総本宮・太宰府天満宮ではないでしょうか?
学問の神様である菅原道真を祭神とする天満宮は全国各地にあり、長岡天満宮もその一つです。
菅原道真の銅像
神童と称され、人々のために善政を尽くした菅原道真ですが、藤原時平の政略によって無実の罪で京都から現在の福岡県大宰府に左遷することになります。
大宰府までの旅の途中に立ち寄ったのが、現在の長岡天満宮がある場所です。
幼少のころ、菅原道真は在原業平とともに詩歌管弦をこの地で楽しんだのでした。
言うなれば、強い思い出が残る地。
菅原道真が左遷の旅で立ち寄ったことから、長岡天満宮は「見返り天満宮」とも呼ばれます。
そして、大宰府まで菅原道真のお供をした3人には、別れ際に道真公から手作りの木像が渡されます。
3人は木像を家などに保管しておくのではなく、ある場所に祀ったのです。
その場所とは、菅原道真が在原業平と詩歌管弦を楽しんだ場所。
長岡天満宮の歴史は木像を祀ることで始まります。
長岡天満宮 のキリシマツツジ
長岡天満宮の見どころは、季節によって異なった演出方法を見せる草花たちです。
3月の終わりから4月の始まりには池周辺の桜が咲き乱れ、4月の終わりから5月の始めには真っ赤なキリシマツツジが神社を幻想的にいろどり、11月下旬には紅葉がライトアップされます。
長岡京市には返礼品がない!?
ふるさと納税の魅力と言えば、一定額の寄付をすることによって贈られる返礼品の数々。
しかし長岡京市には、返礼品がありません。
ふるさと納税の元々の目的は、寄付をすることによって地域を支援してもらうことです。
ただ最近では、豪華な返礼品が寄付の目的となっていることも少なからずあり、そのため返礼品の内容によって寄付金額が変わってしまいます。
これではふるさと納税の目的が果たされていませんよね。
ふるさと納税の原点に戻った長岡京市は返礼品を贈りません。
だからこそ、本当に長岡京市を応援したい人からだけ寄付金が集まってくるのです。
返礼品の廃止は2016年9月から実施しました。
寄付金額は減るかと予想されていましたが、なんと前年度の約5倍もの寄付金が集まったのです。
返礼品が全くないというわけでもありません。
植樹したエリアにネームプレートを設置してくれたり、子どもたちからのメッセージなどが届いたりします。
豪華な返礼品ではなく。
真心が届くということです。
寄付金は全力で3つの事業に使われる
長岡京市にされた寄付金は以下3つの事業に使われます。
・京都西山再生プロジェクト
・スターライトイルミネーション in バンビオ
・こどもたちに本を贈ろうプロジェクト
■京都西山再生プロジェクト■
西山とは長岡京市の西側に広がるカブトムシやオオムラサキなどが暮らす森です。
緑豊かな森ですが、手入れが行き届かず枝葉が伸び切り森が暗くなる、鹿が新芽を食べるなどの被害を受けています。
そういった被害を防いで、多様な生物が暮らせる素敵な森作りを実施するのが京都西山再生プロジェクトです。
■スターライトイルミネーション in バンビオ■
長岡京市の冬にの名物と言えば、JR長岡京駅西口広場前のバンビオ広場で実施されるイルミネーション。
暗い冬を明るく彩ってくれるイルミネーションですが、現在ではまだ規模はそれほど大きくなく知名度もありません。
スターライトイルミネーションinバンビオは、”古の都”をテーマにしたイルミネーションの規模を拡大し、長岡京の知名度を上げる取り組みです。
■こどもたちに本を贈ろうプロジェクト■
こどもたちに本を贈ろうプロジェクトはその名の通り、子どもたちに様々な本を読んでもらえるように本の種類を増やす取り組みのことです。
読書は表現力を広げ、豊かな心を作ります。
子どもたちの成長を担ぐ素敵なプロジェクトです。
京都府に位置する長岡京市は歴史あふれる町。歴史上の偉人たちがこれほど多く関わった町は数少ないでしょう。ふるさと納税の原点に立ち戻った長岡京市は返礼品を贈るのをやめています。本当に長岡京市に良くなっていただきたい方は、寄付を考えてみてはいかがですか?
※2017/10/13 加筆・修正しました。
<「太宰府」と「大宰府」の表記について>
・「ダザイフ天満宮」については、公式サイトに従い、「太」宰府天満宮と表記しております。
・「ダザイフ」については、太宰府市ホームページによると、
”一般には古代律令時代の役所、およびその遺跡に関するダザイフは「大宰府」、中世以降の地名や天満宮については「太宰府」と表記されるようになりました。”
とのことですので、この使い分けに従い「大」宰府と表記しております。