地域活性のため、さまざまな方面で活用されてきたふるさと納税ですが、各地にある遺跡の復元や整備などにも役立っています。
今回は、ふるさと納税が遺跡の復元・整備などに活用されている3つの事例について詳しく解説します。
1.卑弥呼の居館かもしれない纒向遺跡(奈良県桜井市)
奈良県桜井市にある纒向(まきむく)遺跡は、あの邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)の居館だった可能性がある建物跡として注目されています。
邪馬台国は古代中国「魏書」の中に2,000字の記載があるだけで、現在でも正確な所在地は不明です。
纒向遺跡や吉野ケ里(よしのがり)遺跡など有力な遺跡が発見されていますが、決定的な証拠は見つかっていません。
遺跡を想像しやすくするために65本の柱を設置
纒向遺跡では、平成22年の調査で大型の建物と東西に規則正しく配置された建物遺構が見つかり、卑弥呼の宮殿ではないかと話題になりました。
現在、遺跡は埋め戻されていますが、柱を立てることで見やすくしようとする試みにふるさと納税が活用されました。
ふるさと納税による寄付金が約350万円、クラウドファンディングで集まった資金は160万円。
これらの資金を使い、遺跡の見学者にも建物の様子が想像しやすいように、3つの建物跡に杉の柱が65本設置されました。
また、今回の柱設置以外にも大型建物跡の復元図などが入ったパンフレットの用意を検討しているそうです。
纏向考古学通信や木製仮面ノートなどが手に入る
すでにプロジェクトは終了していますが、プロジェクトに寄付した人には3年間に渡り桜井市纏向学研究センター発行の「纏向考古学通信」が送付されます。
これにより、遺跡調査や保存整備の状況などを知ることが可能です。
桜井市は返礼品として、タペストリーやノートなどをラインナップ。
タペストリーには、纏向遺跡で発掘された「日本最古と言われる木製仮面」をデザインした手ぬぐいが使用されています。
纒向(まきむく)遺跡 木製仮面ノート (寄附金額:6,000円)
日本最古といわれる「纒向遺跡の木製仮面」をデザインしたてぬぐいの生地を表紙に貼った、手触りの良いリングノートです。
2.点在する古墳群など文化財の整備事業に活用(奈良県明日香村)
桜井市に隣接する奈良県明日香村は、キトラ古墳や高松塚古墳、石舞台古墳など歴史の教科書にも登場する有名な遺跡があります。
飛鳥時代に日本で初めて本格的な都が建設されたのが明日香村でした。
つまり、日本という国の始まりの地ということになりますね。
明日香村へのふるさと納税の使い道として、古墳など国民的資産である文化財の保存とそれらを活用した史跡整備事業を選ぶことができます。
返礼品には、
- ・遺跡にあったフィギュア「酒船石」を3Dプリンターで再現したもの
- ・壁画に描かれている四神をモチーフにしたクッキーや手ぬぐい
- ・木札お守り
などがラインナップされています。
四神の木札お守り(大)[玄武・青龍・朱雀・白虎]名前入れ可能 (寄附金額:8,000円)
四神の木札のお守りに木彫りで名前をお入れします。
3.国内最大級の環濠集落を史跡公園に整備(奈良県田原本町)
奈良県田原本町には、遺跡としては、国内最大級となる弥生時代の環濠集落、唐古・鍵(からこ・かぎ)遺跡があります。
※環濠集落…周りを塀で囲って敵の侵入を防いでいた集落のこと
唐古・鍵遺跡は約2,300年前から約600年間使用され、多数の絵画や青銅器鋳造施設が発見されたことから、1999年に国の史跡として指定されました。
田原本町では、この史跡指定された地域を公有化し史跡公園として整備をすすめ、2018年4月にオープン。
周囲の田園風景を含め弥生時代の風景を再現し、遺跡を通して歴史の面白さや地域の魅力を広く伝えるため、さまざまなイベントも開催される予定です。
田原本町へのふるさと納税の使い道として、こうした歴史文化資源の積極的な保存に活用することも選べます。
返礼品には、みそやハチミツ、柿の葉すしなど地元の特産品がラインナップされています。
柿の葉すし さば・さけ (20個入) (寄附金額:9,000円)
奈良の名産寿司「柿の葉すし」さば・さけの詰合せです。柿の葉、すし飯、ネタが三位一体となり独特の風味をかもし出しています。
ふるさと納税を国民的資産である遺跡の保存・整備に活用!
今回ご紹介した自治体以外にも、全国各地の遺跡の保存・整備にふるさと納税が活用されています。
古のロマンあふれる遺跡は国民的資産と言えますね。
興味がある方は、ふるさと納税でこうした貴重な遺跡の保存に一役買ってみてはいかがでしょうか?
実際に寄付をした自治体の遺跡を訪れて、古の人々に思いを馳せてみるのもロマンがあって素敵ですね。