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群馬県富岡市赤い襷(たすき)映画

繰糸所を支えた人々の物語「紅い襷~富岡製糸場物語~」

2017.09.14

群馬県富岡市にある「富岡製糸場」。2014年の第38回世界遺産委員会で世界遺産として正式登録されたこの建物は、明治5年に繰糸所として立てられた工場です。
明治時代初期にあたる当時、絹の生糸は国外へ輸出する商品として需要の高い商品でした。そしてその生産を担っていたのは、この製糸場で働く多くの女性たちだったのです。
開国による国外文化の流入、そして近代化のはじまりと、激動の時代に生きた名もなき女性たち。富岡製糸場の歴史と、そこに集い関わった人々の姿を描いた映画「紅い襷~富岡製糸場物語~」についてその魅力をご紹介したいと思います。

富岡製糸場の設立背景を知ろう

富岡製糸場は、その名の通り生糸を作るために作られた工場です。糸と言えば綿糸を想像する人も多いかもしれませんが、ここで作られていたのは蚕の繭から作られる絹糸です。
江戸末期から明治にかけての日本は開国から間もないこともあって、海外との交易に力を入れている時代であり、中でも絹糸は最大の輸出品として取り扱われていました。
明治初期、絹糸の輸出品としての需要は急速に高まっていた時代です。短期間で多くの商品を輸出していたため、その質は低下の一途を辿り、粗製濫造問題が深刻化していました。そこで政府は、繰糸所としての基礎指針を集約した官営模範工場の設立を決めたのです。

錦絵「上州富岡製糸場」明治5年(富岡市観光HP)

模範工場は洋式製糸技術の採用と外国人指導者の配置を中心に、革新的な工場として計画されました。その建設に必要である「広大な土地」「原料である蚕の繭」「水や石炭」などの確保ができる場所を検討した結果、現在の富岡市が選定されたと言われています。

富岡市は妙義山(みょうぎさん)や大桁山(おおげたやま)などの山岳と、鏑川・高田川・丹生川(にゅうかわ)・野上川・星川を主流とする河川、そして丹生湖・大塩湖と、自然に恵まれた緑豊かな土地です。そのため昔から養蚕業が盛んで、富岡製糸場の創業後は製糸産業を中心に栄えてきた町だとも言えます。
現在もなお当時の様子をそのままに残す富岡製糸場は、富岡市の歴史だけではなく、江戸末期・明治初期からはじまる近代化の史跡としても重要な文化財となっています。

工女による回想録「富岡日記」

明治5年5月、富岡製糸場の開業に向けて繰糸を担う「工女」の募集が行われました。「工女」という名の通り、募集したのは女性の働き手でした。女性だけを募集した背景を不思議に思うかもしれませんが、当時の日本では男性は家業を持ち家督を継ぐのが通常でした。官営である富岡製糸場では多くの働き手を必要としていましたので、手早く多数の働き手を集めるために家業を持たない女性を対象としたという説もあります。

開国から間もない当時は、未知の存在である外国人のもとで働くことに対して数々の流言が横行しており、「外国人は生き血を吸う」という噂のせいで思うように工女を集めることができませんでした。これらの流言や不安を払拭するために、信州松代の戸長であり工女募集の責任者であった横田数馬氏は、娘である横田英(後の和田英)を工女として送り出すことにしました。戸長の娘の応募により、松代からの応募者は徐々に増え、明治6年の春には総勢16名が松代から富岡へ赴いたとされています。

「富岡日記」群馬県立歴史博物館(富岡市観光HP)

横田英は後に和田英として「富岡日記」という富岡製糸場の回想録を残しています。この日記の中で英は、官営の製糸場へ赴く重圧、そして松代の戸長である横田家としての責任を一身に背負う思い、富岡で工女として働いた様子や国家の為に助力できる喜びを素直に書き記しています。
また、富岡製糸場の伝修生として国家視点で書き綴られたその記録は、当時の技術や生活の様子を知る重要な資料として大切に扱われています。

横田英の物語「紅い襷」の魅力

富岡製糸場の工女として、そして後世にその技術を伝習した指導者として活躍した横田英(和田英)。彼女の回想録をもとに映画化した「紅い襷~富岡製糸場物語~」は、当時の工女たちの人生を描いた感動の物語です。
富国強兵が謳われる厳しい時代背景、文明開化から間もない時期に出会う異国人との交流、一等工女(紅い襷を身に付けること)を目指す女性たちの生活。登場人物それぞれの生き様や葛藤が丁寧に描かれているこの作品は、日本における近代化のはじまりを描いたとも言える作品です。

映画の1シーン(紅い襷~富岡製糸場物語~公式HP)

信州松代から富岡へ入場した英は、レンガの美しい建物、洋式の器械、新しい技術などを目の当たりにして、工女としての仕事に大きな希望を持ちます。製糸場の指導者であり長であるフランス人のブリュナとの出会いは、英の生き方に大きな風を吹き込み、身分や国境を越えた革新的な考え方の礎を築き上げていくのです。

いつの時代も、新しいことを成し遂げる者とそれを伝承していく者があってこそ、時代は進化していくものです。工女として働いた女性たちの様子を描いたこの作品は、新しいことへ踏み出す勇気を与えてくれる物語です。

世界遺産の1つとして知られ、観光名所としても有名な富岡製糸場。その歴史とともに、これを舞台にした映画作品についてご紹介をしました。
戦火を免れ、当時の姿をそのままに残すこの建物は、歴史的な文化財としてもとても貴重なものです。そしてそこには、当時の先進的な産業を支える多くの女性たちがいたことを決して忘れてはいけません。

「紅い襷~富岡製糸場物語~」は、10月7日(土)に群馬県のユナイテッド・シネマ前橋とイオンシネマ高崎で、そして12月2日(土)~12月14日(木)に東京都の渋谷シネパレスでそれぞれ上映される予定です。この作品のもとになった「富岡日記」を知る人も知らない人も、どちらでも楽しめる魅力的な作品となっていますので是非鑑賞してみてください。

映画『紅い襷〜富岡製糸場物語〜』オフィシャルサイトへのリンク

映画『紅い襷〜富岡製糸場物語〜』オフィシャルサイト

映画『紅い襷〜富岡製糸場物語〜』2017年秋劇場公開!明治維新、日本の大転換期――、若き女性たちの活躍が、あらたな産業の扉をひらいた知られざる感動の物語。

 

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