ふるさと納税の大きなメリットの1つ、税控除。控除と言うと、勤務先の年末調整でやってもらえると思っている人もいらっしゃるのでは？
ところが、ふるさと納税の税控除の手続きは年末調整ではできません。
その理由について詳しく解説いたします。
そもそも年末調整とは？
サラリーマンなど給与所得者は、毎月の給与とともに所得税を天引きされている人がほとんどですが、その所得税は正確なものではありません。
そのため、その年の1月1日から12月31日の総給与収入額が確定し、さまざまな控除を差し引き、正確な税金の徴収金額が決まったら天引きした分とのズレを調整する必要があります。
所得計算などの区切りは12月31日
ふるさと納税の寄付金額もそうですが、税額が決まる年間の総所得の計算についても日付の区切りはその年の12月31日になります。12月分の給与でも支払われたのが1月であれば、それは、次の年の所得になります。
逆に、前年の12月の給与が今年に支払われていれば今年の所得になるのです。
年末調整では控除しないものがある
年末調整では控除できるものと、控除できない（しない）ものがあります。
控除できるもの
・配偶者控除または配偶者特別控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・住宅ローン控除（2年目以降）※
など
控除できない（しない）もの
・医療費控除
・住宅ローン控除（初年度のみ）※
・寄附金控除
など
※住宅ローン控除については、初年度のみ自分で確定申告をする必要があります。
2年目以降からは、ローンを組んでいる金融機関から送られてくる年末残高証明書と税務署から送られてくる「給与所得者の住宅取得等特別控除申告書」（初年度確定申告後に控除される年数分まとめて送られてくるケースが多い）を勤務先に提出しましょう。
ふるさと納税が年末調整できない理由は３つ
ふるさと納税は上記の表にある「寄附金控除」に含まれますが、年末調整できない理由は３つあります。
1. 控除の判断が難しい
寄付金も医療費も控除ができるかどうかの判断を1つずつしていく必要があります。例えば、医療費は予防接種や自家用車で通院した場合の駐車場代やガソリン代は控除されません。
しかし、公共交通機関での通院が難しいケースや病状に緊急性がある場合などのタクシー代は控除対象です。寄附金控除も寄付先によって控除の対象になるかどうかの判断が必要になります。
ふるさと納税の寄付先は、主に各自治体なのでシンプルですが、他の寄付となると公益社団法人、学校法人、NPO法人など寄付先もいろいろあり、さらに控除の選択肢がある場合もあって判断がとても難しいものがあります。
2. 大晦日が終わらないと正確な支払金額がわからない
急に体調を崩して12月31日に医療機関で診察を受けることになった、というように本当にその日が終わってみないと正確な支払金額がわかりませんよね。
ふるさと納税も同じです。たまたまインターネットでとても魅力的なふるさと納税を見つけ、クレジットカード決済すれば今年中の受付にしてもらえる、となれば申し込む人もいるでしょう。
もちろん会社の経理上は年明け後に手続きしても間に合いますが、経理のスケジュール上それは困難なケースがほとんどです。そのため、年末ギリギリでも支払いの可能性があるふるさと納税などの寄付金や医療費は年末調整の対象から外されています。
3. 定額ではないため、見込み計算ができない
社会保険料などは毎月、もしくは年に1回決められた保険料を支払うので途中で解約したり、新たな保険に加入したりしない限りは見込みで計算してもズレは生じません。そのため、保険料などは年末調整の対象に含まれているのです。
ふるさと納税の場合、寄付する金額はその都度違います。また寄付する時期も自由に選べるので、見込み計算が全くできません。
このような理由から年末調整の対象から外されているため、これらの控除を受ける場合は自ら確定申告をする必要があります。ふるさと納税だけの控除申告であれば、手続きが簡単なワンストップ特例制度が利用できるケースもあります。
何もせずに自動で控除を受けることはできませんから、ふるさと納税した場合は必ず手続きしましょう。
