毎年5〜6月頃、その年の住民税課税の決定通知書が手元に届きます。
その際、ふるさと納税で寄付をしたにもかかわらず昨年度と比べて税額に変化がなく、驚いてしまうケースも珍しくありません。
「ふるさと納税で寄付をして、きちんと確定申告したのに住民税が減額されていない?」
と不安になってしまいますよね。
そこで、今回は住民税が控除される仕組みを解説するともに、昨年度と控除額が変わらないケースについて考えられる理由をいくつかご紹介します。
「還付」されるのは所得税で、住民税ではない
「ふるさと納税で寄付をしたことで所得税と住民税が減額になる」
というのはよく知られていることですね。
しかし、実際にその金額がそのまま戻ってくる、つまり「還付」がされるのは、所得税だけです。
例えば、夫婦と子ども2人の家族が3万円のふるさと納税をしたとします。
その家族の給与収入によっても変わってきますが、ここでは
・所得税では2,800円の還付がある
・住民税では基本分・特例分を合わせて25,200円の控除を受けられる
といったケースとして考えます。
この場合、所得税還付分の2,800円については、全く同じ金額が申告時に登録した金融機関の口座などに振り込まれます。
住民税は寄付した翌年の6月以降の分から減額されていく
では、住民税はどうやって減額されるのでしょうか?
このケースの場合、住民税の控除分は25,200円になりますね。
後述する「税額控除額」の欄にあった金額が、寄付した翌年の6月から1年間、毎月支払う住民税から引かれていきます。
今回のケースでは25,200円÷12ヶ月=2,100円/月の控除額になる、という計算です。
住民税の控除額は住民税課税決定通知書で確認!
住民税の控除額を確認するためには、住民税課税決定通知書にある「税額控除額」の欄を見てみましょう。
税額控除額には「市町村民税」と「都道府県民税」の2種類があります。
この2つを足した額が控除分と同額、もしくはそれに近い額ではありませんか?
そうであれば、きちんと控除されていることになります。
もしもこの税額控除額が極端に少ない場合は、役所に問い合わせたほうがいいかもしれません。
住民税の控除額が去年と変わらない理由を4つのケース別に解説
「去年の住民税課税決定通知書と今年のものを見比べてみたけれど、ほとんど変わってない。やっぱり控除されていないんじゃ…?」
そう思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、中には控除はされているけれど、結果的に去年と控除額が変わらないケースもあります。
こちらで詳しく確認してみましょう。
ケース1:税金の控除額>納める税金分の場合
当然のことですが、税金の控除額はすでに納めた、もしくはこれから納める税金の額よりも上回ることは絶対にありません。
税額控除が本来6万円分あったとしても、住民税が5万円の方の場合は最大5万円分までしか控除はされない、ということになります。
ケース2:ふるさと納税の名義が扶養家族だった場合
意外と多いのが、「ふるさと納税をした際の名義が収入の少ない家族だった」ケースです。
収入はあっても扶養家族で、その本人が払う税金がなかった場合はその分の控除はされません。
例えば一番収入が多い家族が夫であり、パート勤務をしている妻の名義でふるさと納税をしたとしましょう。
この妻が扶養控除内であった場合などは、妻が払う税金はありませんから控除もない、ということになります。
ケース3:住宅ローン控除など大型の控除がされている場合
住宅ローン控除が適用されている方は、すでに多額の控除がされています。
その控除分だけで、控除の全額がカバーされてしまっている場合は、それ以上控除の対象が増えたとしても控除されません。
ケース4:給与アップ=税金アップ分と相殺された場合
もちろんですが、給与が高くなった場合は、その分税金も高くなります。
そのため、控除はされていてもその分税金も高くなっていて、結局プラスマイナスゼロに近いケースもあるのです。
上記の理由に当てはまらない場合は問い合わせを!
ふるさと納税をした場合、税金の控除手続きに不備がなければ必ず住民税の税額控除はされます。
しかし、さまざまな理由でその控除額が思うよりも少ないと感じている方も。
今回は主に考えられる理由についてご紹介しましたが、他にも理由がある可能性もあります。
そういった場合は、お住まいの地域にある役所に問い合わせてきちんと確認しておきましょう。