ふるさと納税で寄付をすると、確定申告やワンストップ特例制度を利用し、寄付金控除の申請をすることで所得税や住民税から寄付金が還付または控除されます。
しかし、「ふるさと納税をしたあとに海外転勤になってしまった!」……という事態になった場合、寄付金の控除は一体どうなるのでしょうか。
所得税からは問題なく還付を受けることができる!
所得税からの控除は、ふるさと納税で寄付をした年の所得税から還付というかたちで適用されます。
ここで少し所得税の説明をしますと、所得税の支払いの対象者は「居住者」と「非居住者」に分けられ、海外勤務が1年未満の予定の場合は「居住者」、1年以上の予定では「非居住者」に分類されます。
居住者に分類されると、海外に勤務したとしても所得税を支払う義務があるため、同時に寄付金に対する所得税からの還付も適用されることになるのです。
また非居住者の場合でも、海外での勤務で得た給与に対して所得税は課税されないものの、それまで国内で得た給与に対しては所得税を支払う必要がありますので、同時に所得税に対する還付も受けることができますよ。
どちらにせよ、所得税からの寄付金控除は問題なく適用されるというのが結論ですね。
住民税は場合によって控除の適用が変わる
一方、少しややこしいのは住民税における寄付金の控除です。
住民税は、「1月1日時点」で住民票がある市町村に対して支払う税金で、この住民税からの寄付金控除は寄付をした翌年の住民税に適用されることになっています。
例えば、2017年に寄付をしたぶんの控除は、翌年2018年1月1日の住民税から適用される=2018年1月1日の住所が基準となる、ということになります。
寄付後の翌年1月1日以降の海外転勤なら控除を受けられる!
例えば2017年にふるさと納税で寄付をして、翌年2018年1月1日以降に海外転勤となった場合は、2018年1月1日時点ではまだ日本国内の住所にいることになります。
ということは、その年の住民税を納める必要がありますので、2017年のふるさと納税の寄付金の控除も適用されることになるのです。
反対に、2017年にふるさと納税で寄付をして、年内に海外転勤となり、翌年2018年1月1日時点には日本国内の住所にいないという場合、2018年は住民税を支払う必要がありません。
したがって、2017年に寄付をした寄付金の控除も適用されないでしょう。
つまりまとめると、
・ふるさと納税を行なった翌年1月1日以降の海外赴任(翌年1月1日時点では国内居住)→控除を受けられる
・ふるさと納税を行なった年内の海外赴任(翌年1月1日時点で国内にいない)→控除は受けられない
ということになります。
しっかりと寄付金控除を受けたいのであれば、年内に海外勤務の予定がないことを確認してから寄付をしたほうが良いかもしれません。
とはいえ、本来ふるさと納税の寄付金は、生まれ故郷や馴染みのある地域、今後応援したい地域への「気持ち」です。そのことを忘れないようにしましょう。
また、税金に関しては個人の状況により異なる場合がありますので、もっと詳しく・正確に知りたいという方はぜひ税務署に問い合わせをしてみてくださいね。